2019年1月14日月曜日

1月14日 渡辺幸男の中小企業研究50年史 その1 時期区分

 これから数回にわたり、私、渡辺幸男の中小企業研究50年を振り返った、勝手な研究史を掲載していく。幸運に恵まれ、自らが選んだ、中小企業の研究に半世紀にわたり携わってこれた。このことに感謝しながら、5期に分け、自らの研究内容を振り返ってみたい。


渡辺幸男の中小企業研究50年史
1968年〜2018
渡辺幸男

 今から改めて振り返ると、2018年4月に、私は、中小企業研究に関わり始めて、ちょうど50年経ったことになる。慶應義塾大学経済学部の3年生となり、伊東岱吉教授の研究会に入会を許可されたのが、1968年4月であった。それから約50年、結果的に見れば、広い意味での中小企業の研究にこだわり続けてきた。
 そして、今、研究者としては、季節労働で中小企業研究奨励賞の審査を担当しているのみのような状況にあり、積極的に自らの研究成果を発信することはなくなった。余裕ができ、この研究者としての半世紀、何を発見し、どのような主張をしてきたのか、時期を区分しながら、回顧したくなった。回顧すること、そしてそれをブログで公開すること、このことに何か意味があるのか、自問している。私はこんなことを行い、そこから自分なりにこんな風に発見をし、こんなことを考えてきた、ということを、他の方、特に若い研究者の方に知ってもらいたい、という願望があることによるのかもしれない。
 まずは、50年間を5つの時期に区切り、それぞれの時期について、研究活動とそこでの成果を、ブログで順に紹介していくつもりである。

第1期 学生・院生時代 19684月〜19773
19684月 慶應義塾大学経済学部伊東岱吉研究会 入会
      中小企業研究の開始
19704月 慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程経済政策専攻 入学
19723月 経済学修士
19724月 慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程 入学
     実態調査研究論文を渉猟し、自ら実態調査を行うことの必要を痛感
1974年秋 1本の論文原稿のみで慶應義塾大学経済学部助手採用試験に応募
        見事に不合格
1976年夏  本格的実態調査開始
 東京都労働局委託調査研究 「家内労働の実情」に参加し、
東京の機械金属工業零細企業の実態調査を本格的に開始
   秋  慶應義塾大学経済学部助手採用試験に2回目の応募で採用内定
       慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程5年目
19773月 慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学

第2期 慶應義塾大学経済学部助手就任・助教授昇格・英国留学 
19774月〜19873
 英国留学前、実態調査がらみの研究調査プロジェクトに一メンバーとして
積極的に参加、調査報告書にも数多く執筆
19774月 慶應義塾大学経済学部 助手に就任
19822月 佐藤芳雄編著『巨大都市の零細工業』(日本経済評論社)で、
      執筆者の一人として中小企業研究奨励賞本賞を受賞
19834月 慶應義塾大学経済学部 助教授昇格
19844月 日本学術振興会産業構造・中小企業第118委員会委員に就任
19853月 慶應義塾福澤基金により英国ロンドン大学LSEに留学
19873月 同 留学より帰国

第3期 帰国、教授昇格、単著執筆、そして受賞
19874月〜19993
 留学から帰国後、調査研究プロジェクトへの参加とともに、
自前の調査を仲間の院生の協力も得て実行し、単著2冊の出版へ
単著出版後、ウィングバレー協同組合調査、木工機械工業ビジョン等で
主査としての本格的実態調査開始、
19874月 渡辺幸男研究会の開始、定年退職まで担当し、25期に及ぶ
19904月 慶應義塾大学経済学部教授昇格
199712月 最初の単著出版 『日本機械工業の社会的分業構造』(有斐閣)
199810月 調査関連中心に2冊目の単著
『大都市圏工業集積の実態』(慶應義塾大学出版会)を出版
19992月 最初の単著で、中小企業研究奨励賞特賞を受賞
 同 3月  同単著で、慶應義塾賞を受賞
 同 3月  同単著を主論文、2冊目の単著の簡易製本版を副論文として、
慶應義塾大学から博士(経済学)の学位を取得

第4期 主査としての調査、教科書の出版、中国実態調査本格化
 1998年〜2011
   ウィングバレー協同組合調査、
E研究院中国中小企業発展政策研究、中小企業研究センター、
118委員会中心の科学研究費補助金調査、
東アジア研究所中国自転車産業調査等で、
大規模実態調査の主査を務め、
報告書のみならず、何冊かの共編著を出版、そして3冊目の単著出版
20011月 小川正博、黒瀬直宏、向山雅夫の3氏との共著で
中小企業論の教科書 『21世紀中小企業論』(有斐閣)第1版の出版
2011年7月 3冊目の単著出版『日本の産業集積研究』(慶應義塾大学出版会)

第5期 実態調査からの引退、定年退職 2012年〜2018
    2011年、中国での調査を最後に、(知的)体力の限界を感じ、
実態調査に参加することをやめた
    2011年までの中国調査をもとに単著出版、あとはブログに雑文をup
20133月 慶應義塾大学を定年退職し、慶應義塾大学名誉教授になる
20163月 4冊目の単著出版
『現代中国産業発展の研究』(慶應義塾大学出版会)

付録
研究業績一覧(ジャンル別、年次順)

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