冬をテラスの中で無事越したサルビアの苗、
元気に花をつけています。
少し密に植えすぎた感があるのですが、
賑やかさはなかなかなものです。
軒下で冬を越したゼラニウム、
かなり痛みましたが、
残った枝から多くの花が元気に咲きました。
私の花を育てる気合いが落ちてきたため、
冬を越す鉢がかなり減りましたが、
初夏を迎え、それなりに咲き始めました。
いつものように、エントランスが賑やかになりました。
冬をテラスの中で無事越したサルビアの苗、
元気に花をつけています。
少し密に植えすぎた感があるのですが、
賑やかさはなかなかなものです。
軒下で冬を越したゼラニウム、
かなり痛みましたが、
残った枝から多くの花が元気に咲きました。
私の花を育てる気合いが落ちてきたため、
冬を越す鉢がかなり減りましたが、
初夏を迎え、それなりに咲き始めました。
いつものように、エントランスが賑やかになりました。
FT, Inagaki, K. & E. White, ‘BIG READ. AUTO INDUSTRY’,
(22 May 2026, p.15) を読んで
渡辺幸男
本特集記事は、中国の自動車産業の動向を伝え、分析する、稲垣氏等による最新の特集記事である。本特集の見出しは、「メイドイン中国の欧州車群」であり、「西側の自動車メーカー群は、彼らの自国マーケットに、中国の過剰な生産能力を利用し、低コストの車両を輸出しているが、同時に海外の技術に依存しすぎとなることを恐れている」である。
昨年も、本ブログで、同じ稲垣氏らによって書かれた特集記事を何回か紹介してきた。いずれの特集記事も、中国に進出した欧州系乗用車メーカーを巡る状況の紹介とその意味の分析であった。昨年11月の記事は、ドイツのVWをめぐる記事で、ドイツ国内生産拠点の縮小と、開発を含めた中国での生産強化が、ドイツのVWによって実行されようとしているという、衝撃的な特集であった。今回は、中国で生産する、外資系や中国系のより多くの乗用車メーカーを対象に、ほぼ同様な議論が展開されている。
ごく単純にまとめれば、中国系メーカーが、中国内での過剰生産と激しい競争を前に、より利益の出る海外市場、それも欧州市場等の先進工業国市場へと進出し、その結果、中国が世界最大の乗用車輸出国となった、という形で、中国系企業も含めて議論がまとめられている。
そこで紹介されているグラフ、「中国乗用車輸出の爆発」と題された2つないし3つのグラフが大変興味深い。1つは、2021年から2025年にかけての5年間の乗用車輸出台数と同輸出金額の推移を示したグラフである。5年間で200万台から700万台へと台数で約3.5倍、金額で見ると、2百億ドル余程度から11百億ドル程度へと5倍程度の急拡大となっている。
残りの2つのグラフは、2020年と2025年それぞれのトップテンの企業の外資系を含む中国の自動車輸出企業の順位とそれらの輸出台数を示したグラフである。ここで興味深いのは5年間で、第1位の輸出企業の輸出台数が、30万台程度から130万台程度と急増していることと、首位の企業が上海汽車から奇瑞汽車へと入れ替わっていること、さらに2020年には圏外であった比亜迪が2位、100万台を輸出しているということである。なお、上海汽車は2025年でも3位にとどまり、50万台を輸出し5年間で20万台程度輸出を拡大しているが、その拡大が見えにくくなるほど、他の2社の拡大は大きい。さらに注目されることは、全体が急拡大している中で、上位10社のうち5社まで5年間で入れ替わっていることである。
半端ではない輸出拡大を実現し、かつ、その主要な担い手は、各社が拡大する中でも、その順位や表記企業が、5年程度の期間で、大きく入れ替わっている。これが今の中国の自動車産業、否、中国の工業全般の状況を端的に表現していると、私には思われる。
同時に、ここで注目されることは、乗用車産業について言えば、海外輸出拡大は、国内生産過剰ゆえの、原価を切った、あるいはそれスレスレの輸出の拡大、すなわちダンピング輸出とは、全く言えなそうもないということである。この記事の中で触れられているのは、海外輸出の方が採算的に合うので、奇瑞汽車は積極的に輸出を拡大しているということである。高度成長期の日本の鉄鋼業に一時期見られたような、国内市場向けの生産過剰下での、過剰製品分の採算を度外視しての輸出と同様なものとは、いえそうもないのである。海外が国内より儲かるから、海外市場を急拡大させている。こう言えるのだという。
巨大な市場に育った中国国内市場を前提に、垂直社会的分業下での国内での諸企業による部材からの一貫した生産の拡大と、EV生産をめぐり多様な分野・側面での技術革新が生じ、これにより、実質的な生産コストが、製品の品質向上を伴いながら下落し、国内需要すなわち市場を一層広げている。しかし、国内市場では競合メーカーが多く、競争が激しく、巨大市場が依然として拡大していながら、寡占的市場支配を実現できず、価格競争も激しく、あまり儲からない。他方で、国内生産体系での技術革新と規模の経済性の実現とを活用すれば、海外市場で強い競争力を発揮することは可能であり、それを前提に、輸出が急拡大しているのが、今の中国の乗用車産業、ということになる。
国際競争力を巨大国内市場の存在を前提としての技術革新を通して実現したが、資本の集中が進まないため、その利益は製品価格の低下と国内市場の拡大へと反映するだけで、企業利益の大幅増にはならない。それに対して、海外市場は、中国のEVメーカーから見たら旧態依然とした内燃機関中心の技術革新の進展が遅い寡占的市場である。そこに輸出や直接投資で進出すれば、高い収益性を実現できる、こんな展望が見えてくる。それを着々と、一部の企業は実現し始めている、というのが、このグラフに表現されていることであろう。
また、この記事に書かれていることは、このような中国企業の状況下で、その輸出拡大にさらされている欧州市場、欧州市場の既存企業、同時にこれらの企業はかつて中国市場の形成過程で直接投資を中国に行った企業であった。それらがVWをはじめとして、中国市場の拡大とその技術的先進化の下で、どのように生き残るか模索している姿を紹介したものでもあるといえる。
私が初めて中国の現地調査を経験したのは、2000年であった。それから四半世紀余、中国工業の位置は、激しい競争下での、その先進技術化と、巨大な国内市場ゆえに、独自に発展し、かつて米国市場が占めていた位置を、中国市場も占めるようになり、世界の工業の主役の1つである乗用車の製品・生産技術の発展をもリードし始めたとも言えそうである。そして、その道は、かつての日系企業のように米国市場依存へと傾斜することなく、巨大国内市場の開拓を前提にした上で、グローバル化を実現しそうに見える。
時代は変わった、と改めて感じた次第である。
EV化促進を拒否した米トランプ政権下での米国乗用車工業、そして米国市場に専ら依存する日系乗用車メーカー、これらのかつての覇者企業群は、これからの世界市場でどういう位置付けに置かれるのであろうか。これは乗用車産業だけの問題ではないが。FTでは、乗用車メーカーについては、専ら欧州系メーカーが取り上げられ、米系メーカーや日系メーカーについての分析は少ないようであるが。
さらには、内燃機関の乗用車産業さえ維持し得ていない旧ソ連を引き継ぐロシア工業とその市場、欧州ほどの市場としての魅力も中国系乗用車メーカーにとってはないのかもしれない。欧州市場の周辺市場として位置付けられて、中国系メーカーの進出の対象となるようにも思われる。
FT記事、
「ロシアのミサイルに西側製の部品が見出された」を読んで
Miller, C., C.Cook, & N.Sedoon,
‘Ukraine war Western parts found in Russian missiles’
FT, 16 May 2026, p.2
渡辺幸男
副見出しは、「部品は重要な軍事用部材についての輸出規制が始まって長くたってから製造されたもの」と言う指摘と、「「それぞれのミサイルが100以上の西側で作られた(部品)を含んでいる」というVlasiuk氏(ウクライナの輸出規制関連係官のトップ)の発言」からなっている。
内容は、見出しに見られるように、この木曜日に、ウクライナに多数打ち込まれたロシア製のミサイルの残骸からわかったことは、半導体チップ等の主要部品に、依然として西側諸国製の部材が100以上使われていると言うこと、そしてそれがTIやAMDといったメーカーの2024年や2025年製のシリアルナンバーがついたものであったということである。すなわち、西側諸国の制裁によって規制されている部材が、ウクライナに現在打ち込まれているロシアのミサイルに依然として使われていることの確認である。
ロシアは現在ウクライナ侵略のために多数のミサイルを生産しているが、それらの生産のために、米国により輸出規制がなされている多くの部材を第3国経由で手に入れることができているし、また、中国製のクローン部品に置き換えたりもされているということが指摘されている。
すなわち、西側の制裁により厳しく輸出規制がされているが、第3国経由での入手や中国製への置き換えで、依然として主要部品を輸入に依存しながらも、ロシアは、自国製の巡航ミサイルの量産体制を維持し、それをウクライナ侵略に使用している、というのが、この記事の内容と言える。
この記事が確認し、経済制裁との関連で主張していること、それ自体が興味深いといえる。が、私としては、その上で、工業経済、工業発展の元研究者としての私としては、いつもの疑問、そしてそのことの持つロシア経済にとって、長期的な意味の重要性を、その事実を通して改めて感じてしまう。
すなわち、ウクライナ本格侵略開始から4年余が経ち、すなわち、西側の最新軍需製品の主要部材についての対ロシア輸出規制が本格化してから4年が経過しながら、主要軍需製品である巡航ミサイルの主要部材について、依然として西側の部材の間接輸入と中国製クローンの輸入に大きく依存しているし、依存できている、否、依存せざるを得ないでいる、ロシアの軍需産業の状況をどう考えたら良いのか、ということである。すなわち、ロシア工業の現状の産業としての自立性のなさが、改めて確認されたことの持つ意味である。
なぜ、ロシア工業は、旧ソ連のそれなりに先進的であった工業、特に兵器産業の当時の先端的な主要生産機能を引き継いでいながら、主要部材について、間接輸入に依存し、中国製のクローンにさえ依存せざるを得ないのはなぜなのか。豊かな天然資源輸出による資金と旧ソ連から引き継いだ軍需産業をもとに、特に巡航ミサイル等のトータルな部材からの生産技術をもとに、軍需用先端部材についてのロシア内生産化を、何故、実現できないのであろうか、という疑問である。
これが、可能であれば、高い金を払って既製品の第3国からの輸入をしないで済むし、中国に依存しないで自律・自立的な軍需産業を構築できるはずである。旧ソ連からの、当時は先進的であった基礎的な軍事製品生産技術の継承を前提にすれば、素人考えでは、4年という年限は十分とは言えないとしても、それなりに開発を実現することができる年限ではないか、と思われる。兵器産業の人材は元々存在したはずだし、天然資源の輸出により資金もかなり豊富に存在し、需要そのものは引く手数多に存在するのであるから、ロシア国内で、この記事で取り上げられているようなチップ部品を、少なくとも軍需用に特化したものであれば、需要は豊富にあるのであるから、国内量産化を実現できるのではないか。そう考えるのである。
しかし、実態は、この記事にあるように、依然として西側頼りから抜け出られず、多少なりとも、当初から代替したのは、兵器産業では旧ソ連の技術を引き継いだ後発工業国のはずの中国メーカーの生産に依存することによってである、というのである。これをどう見るべきであろうか。
プーチン政権は、ロシアの工業の改めての先進工業化に向けての政策を放棄したのであろうか。私が、かねて主張しているように、ロシア経済の非工業化が、プーチン政権下、そしてウクライナ侵略戦争下で、一層進行したのであろうか。プーチンの意図としては、先端工業化政策を放棄してはいないのであろう。しかし、ウクライナ戦争遂行のための軍事費を維持し、侵略戦争を国民に受け入れさせるために、ロシア国民の生活水準のある程度の向上の実現との両立を実現させざるを得ない。このような政策をとったことの必然的結果として、少なくとも当面は、先進工業化実現を目指しての大量資金投入を諦めざるを得ない、ということなのであろう。
豊富な原油等の第一次産品の生産、輸出による豊かな外貨収入を前提にしても、長期化している軍事費拡大と、国民生活のそれなりの向上の実現とで、手一杯であり、本格的な先進工業化へ向けての投資を行うことはできないでいる。それが現状なのであろう。ただ、大量の資金を投入したところで、競争的主体が多数生まれるようなことがないような、今のロシアの生産システムでは、台湾や中国に対抗できるような先端工業化推進を実現できるとは、私には思えないが。
ウクライナ侵略のロシア経済、ロシア工業にとって持つ長期的な意味、これは、極めて重大であることを、この最近のロシア製巡航ミサイルの構成部品が物語っているとも言える。ウクライナ侵略のために今最も必要な最新型の巡航ミサイルの先端技術を担った主要部品でさえ、依然として西側製か中国製を多く含むのである。ロシア化、国産化の進行は実現していないことを、如実に示す記事となっている。
西側のロシアに対する先端工業部材の輸出禁止という制裁措置は、第3国経由で回避されるか中国製で代替され、巡航ミサイルの生産をロシアは維持できている。できているから、戦争を続行できている。しかし、そのことは、同時に、ロシア国内生産の部材のみでは先進的巡航ミサイルさえ作れない、今のロシア工業の水準を示唆している。そして、ウクライナ戦争勝利のために国内生産化が最も求められる先端的兵器でさえ、部材を含めた国産化には程遠い。こんなロシア工業の現状が露呈している記事である。中国製の部材に依存する、依存せざるをえないことはあっても、国内産の部材にもっぱら依存して巡航ミサイルを製造することはできないのである。
プーチンの下でのロシアの非工業化の進行、一次産品輸出国への道の結果的追求は、留まるところを知らない、といったところであろう。こんなロシア非工業化の再確認に近い感想を、私に持たらしたのが、この記事である。