私の本格的中国現地実態調査は、
日中共同のプロジェクト、3E研究院中国中小企業発展政策研究グループの
現地調査として
2000年8月末の紹興、軽紡城や織布メーカーから始まりました。
この夏2週間をかけ、初めて中国の中小企業実態調査を行いました。
最初の週は、浙江省紹興市の軽紡城と周辺の織布工場をまわりました。
下の写真は布帛を中心とした小規模卸が大量に集まった建物の集合体、
軽紡城の内部のごく一部です。
このような卸の小ブースが延々と続いており、
広さと数の多さに圧倒されました。
少なくともこの当時の、軽紡城の布帛製品は、
専ら中国国内の中低級アパレル製品需要向けのもののようでした。
広大さとともに、内需向けでの大変な賑わいに、
中国国内市場の可能性を感じました。
軽紡城視察の後、
軽紡城にも供給している周辺の織布メーカーの工場のいくつかで
聴取り調査を行いました。
下はその1つです。
本年1月22日に逝去された森田和正氏(後ろ姿左側)の元気な姿が写っています。
この工場でも驚きの連続でした。
上の写真の奥の方にも見えますが、
下の写真は、大量に野積みされた製品の白生地を巻いたものを、
裸のまま保管場所から、搬出用のトラックへと運んでいる様子です。
製品は搬出の直前に積み上げられたのではなく、
野積みでシートをかけただけで保管され、それが搬出されているのです。
我々もすぐ気になり、工場関係者に質問しました。
「完成品の白生地を野積みして問題はないのですか」と。
回答は、「この後、洗って染色するのだから問題ない」という
驚くべきものでした。
ちなみに、同行した研究仲間が、
その後、北陸の織布メーカーに行った際に質問したところ、
「とんでもない」という回答だったそうです。
下の写真は、同じ工場の内部の写真です。
糸を織機用に巻直す機械が多数、整然と並んでいます。
その横で、機械を担当する女性が、食事をしていました。
出来高制で、食事する暇も惜しんで稼いでいるようです。
同時に、製品への影響は、と考えざるを得ませんでした。
下の写真は、現地入りした週の週末、
浙江省の名所、西湖に遊覧に出かけた際の写真です。
これも驚きでしたが、
日中共同のプロジェクト、3E研究院中国中小企業発展政策研究グループの
現地調査では、中国側の日程設定に、当初は、
必ず現地の名所旧跡の訪問が組み込まれていました。
中国のいにしえの歴史に登場する西湖での、
素晴らしい景色、素敵な中国の風景を楽しむ週末でした。
が、中国中小企業の実態とはかけ離れた時間でした。
写真の森田氏は、このグループに
日本の中小企業金融制度の専門家として参加してくれました。
彼の中国信用保証制度の研究は、このプロジェクトの成果でもあります。