2023年1月1日日曜日

1月1日 癸卯元旦 謹賀新年

                                                                                                                                                    癸卯元旦

明けましておめでとうございます

渡辺幸男

 

 私の昨年1年間、一昨年とほとんど変わらない1年でした。ただし、一昨年、久しぶりに『21世紀中小企業論』の改訂版を出版するために、原稿を書きましたが、そのような仕事も昨年はありませんでした。また、多摩川を越える仕事も、ごくわずかであり、新型コロナの流行もあり、旅行も行かず、神奈川県内でほぼ完結した1年でした。リモートでの会議や学会への参加は、いくつかあり、出不精の私には、ますます暮らしやすい環境になったと感じた次第です。

 ただ、年末から新年にかけての季節労働である「中小企業研究奨励賞」の審査委員としての仕事は、今年度まで引き受けていることもあり、10月に入り、急に緊張感が高まり、久しぶりに、研究書と格闘する日々を過ごしました。このところ、中小企業研究以外の研究書を読むことが多く、なるほど、と感心するだけで読み飛ばしていましたが、審査するとなると、そうもいきません。緊張感が全く異なります。他の委員の見解を拝読し、私の理解と大きく異なることから、さらに読み直すといったこともしました。

 この審査委員の季節労働についても、本年度末、すなわち今年3月をもって終了することにしました。故佐藤芳雄教授がまだ現役の時に亡くなられためだと思うのですが、思わぬ若さで中小企業研究奨励賞の専門委員から審査委員に移行することになりました。それから20年余、審査委員として当初は好きなことを言っていられたのですが、経済部門の主査、あるいは審査委員長になってからは、審査委員の諸氏の見解をまとめるという役目が加わり、私の性格からは、かなり自己抑制をせざるを得ないきつい状況とになりました。言いたいことを抑え、と言っても、かなり自己主張をしていたとは思うのですが、立場上、審査委員諸氏の見解をまとめるということを、常に考えざるをえず、それなりに努力し、私なりにストレスを感じてきました。

 中小企業研究奨励賞の審査委員の任にあたることで、自分の主たる専門分野以外の著作、特に歴史的研究や計量的研究をも読むことを求められ、中小企業研究に関する私の理解の幅も広がったように感じます。それを自分の分野での研究にどこまで活かせたかは疑問ですが、中小企業研究者としての発想やアプローチの多様なあり方についての認識は深まったと思っています。審査委員としての活動の機会を与えてくださった商工総合研究所の方々に感謝です。

 

 さて、季節労働もする必要がなくなり、次年度からは、どのような生活を送るか、この問題が生じるかもしれません。ただ20194月から7月にかけての手術入院生活以後の、ここ数年の状況から言えることは、専門外の研究書、多くは近年の研究成果を反映した歴史学関係の専門書あるいはその入門書ですが、これを興味にしたがって、勝手に読み飛ばすということが、楽しくてしょうがない、と言った状況です。数年前まで、自身の研究がらみ、およびその周辺の研究書を読むことが多かったのですが、かなり状況が変化し、近年の歴史研究の成果を追いかける形での読書となっています。

 その結果、読書を通じて、私なりの見解を述べたくなり、ブログに書くということも減ってきました。あるいは、ほとんどなくなってしまいました。

 

 また、もう1つの趣味である、庭仕事を楽しむ、ということの1つである花については、ここ数年の体力の衰えの影響で、これまで毎年繰り返し世代更新で咲かせてきた鉢植えを、かなり維持できなくなり、種類を減らしてしまいました。エントランスの花々についても、かつての彩りが減ってきています。ただ、それでも、いくつか、サルビア、ゼラニウムやクリスマスローズといった花々の鉢植え、これ等を維持し、あるいは増やすことにも成功し、それなりにエントランスの四季の花々を維持することはできているつもりでいます。ブログにも、だいぶ回数は減りましたが、それ等の花々の移り変わりを、依然としてしつこく掲載しています。

 もう1つの趣味の庭仕事である、池の錦鯉の孵化と育成、こちらは私の中学生以来の趣味、60年余、極めてしつこく続けています。場所と広さは変わりましたが、我が家の池で鯉を卵から孵し、成魚になるまで長く育てる。こんな日々が、未だ続いています。ただ、新たに卵からの孵化、そして稚魚の育成、これについては諦めました。今いる鯉、4年以上(病気で倒れる前に孵した幼魚)たった鯉を最年少に、30数歳の鯉まで、数十匹、これの面倒を見続け、この夏も無事越させることができ、冬を迎え、池の深みで静かに、しかし元気に泳いでいます。

 池の鯉の天敵、まずは猫、これは池の周りを工夫し、猫が池に手を入れることができないようにしたことで、だいぶ前から、ほぼ完璧に防いでいます。もう1つの天敵、青鷺、こちらはしつこくやってきています。我が家の屋根に止まり、周りの様子を伺い、池のほとりに降りてきて、孵って数年以内の幼魚を狙います。かなりやられたのですが、ネットを張ることで、近頃は防げるようになりました。でも、まだ狙いに時々飛来します。知恵比べといったところです。

 60年以上続けている鯉の飼育、できる限り、といっても体がある程度動くことが前提ですが、続けていきます。孵化の再開は無理にしても。

 

 最後に中小企業・産業構造に関する研究者としての今後ですが、気になった本を勝手に読み、勝手な感想をブログに書くことは続けたいと思っています。特に中国、ロシア、インドの産業発展の実態についての研究を、中小企業を念頭に置いて読み、新興工業国の産業発展を、日本での産業発展と対比しながら、考える。こんなことを、日本語の文献を通して行えたらいいな、と思う日々です。

ただ、産業の現場に行って、その報告をされる研究者の方が限られており、新興工業国の産業、特に広義の機械工業についての日本語による研究成果については、目にする機会が、ごく限られています。2000年前後に、中国産業の研究者と一緒に中国の産業発展の現場を自分の目で見るような幸運には、恵まれないであろうし、そんな機会がたとえ降ってきても、もうそれに応じる知的体力はないので、ぜひ、他の方の研究成果を見たいのですが・・・。

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